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研究室だより vol.2 和田研究室

バイオメカニクスグループ(和田研究室)

医学と工学をむすぶ生体力学シミュレーション

教授・和田成生、准教授・宮崎 浩、助教・越山顕一朗、伊井仁志

当研究室では、生体計測と様々な計算力学シミュレーションを組み合わせて、細胞から組織、器官に至る生体のマルチスケールな物理現象とそれに関わる生物現象を統合的に理解する研究を行っています。これにより、生体の機能発現の基礎となる力学特性だけでなく、生体特有の力学的適応現象やリモデリングのメカニズムの解明を目指しています.また、得られた知見をもとに、病気の診断や治療、進行予測に生体力学シミュレーションを活用する新しい医療支援システムの開発を行っています。図Aは医用画像と計算力学解析を統合する肺呼吸のイメージベーストシミュレーションの結果です。CT画像から肺や気道の実形状モデルを構築し、吸気時の酸素輸送計算を行いました。計算結果を元の医用画像上に表示しています。このように医用画像に物理的情報を加えることにより、より高度な診断が可能となると考えられます。また、これに肺胞から構成される肺の微細構造を表現する数理モデルやエネルギ最小化原理に基づく細胞の力学モデルを組み合わせることにより、肺のマルチスケールメカニクスの解析に取り組んでいます(図B)。

図Cは血液循環のマルチスケールシミュレーションの結果です。補助人工心臓ポンプ内の血液の流れとそれによる赤血球の変形動態を表しています。このように赤血球は急激に過度の変形をすると、膜が破壊(溶血)してしまいます。 変形に伴う赤血球膜の破壊メカニズムの詳細を明らかにするために、分子動力学シミュレーションを取り入れた研究も行っています(図D)。詳細は当研究室のホームページ(http://sites.google.com/site/biomechwadalab/home)をご覧下さい。

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図A: CT画像から得られた肺および気道の実形状モデルと気道内の酸素輸送計算結果.
図B: 肺の微細構造モデルと力学計算によって得られた肺組織と細胞の変形の様子.
図C: 補助人工心臓内を流れる赤血球の変形動態.
図D: 分子動力学計算によって得られた急激な伸展による赤血球膜の破壊の様子.

Last Update : 2012/07/12