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研究室だより vol.5 流体力学研究室

非線形力学領域 熱流体力学講座 流体力学グループ

液体ジェットの崩壊メカニズムの解明と
微細ファイバー・微小液滴形成への応用

准教授・吉永隆夫,助教・渡邉陽介,清水大

日常よく目にする水道蛇口から滴り落ちる流れは,水量を増やすと下流で乱れのある,長く伸びた流れに変わる.この液体ジェットにおける二つの流れの様子は,それぞれドリッピングモードとジェッティングモードと呼ばれている.

いずれの場合も表面張力の働きにより,流れは不安定化し最後は液滴になる.このような流れの理論的な研究が19世紀にレイリーにより始められて以来,ジェットの大変形を考慮した崩壊から液滴形成に至る詳しい研究が実験・理論の両面から行われてきた.

近年,医薬,化粧品,繊維などの工業分野において,微細ファイバーや微小粒子の需要が高まっている.そのような状況下で,従来の化学重合反応を用いた製品に比べて,液体ジェットの不安定性を用いる手法により,より均一で微細なファイバーや粒子の形成が可能であることがわかってきた.特に,数十ナノから数百マイクロオーダの微細ファイバーや微小粒子の形成に,静電場を用いる手法が注目されている.エレクトロスピニングやエレクトロスプレーと呼ばれるこの手法では,ノズルと電極間に数キロボルトの高電圧をかけ,液体ジェット表面に帯電した電荷の反発力や外部電場による静電力を利用する.

これまで実用化を目的とした実験的研究が主に行われてきたが,多くのパラメータを含むこの複雑な現象を理解するため,電気伝導性の流体力学の立場から,ジェットの安定性や崩壊過程などの基本的な特性の理論的な研究が不可欠である.

最近,我々のグループで行われた解析では,静電場中でのジェットを記述する比較的簡単な非線形方程式が導出され,ジェットの崩壊モードが二つの無次元パラメータで支配されることがわかった.図は,軸対称なジェットの崩壊形状が,パラメータの変化により,先端部に液滴を伴う(a)流体ジェッティングモードから,(b)先端部にマイクロドロップを伴うコーンジェットモードを経て,(c)マイクロドロップを伴わないコーンジェットモードへと遷移する様子を示している.

流体力学研究室ホームページ(http://mars.me.es.osaka-u.ac.jp/)

Last Update : 2014/08/26